2014発売Android端末のdp解像度まとめ

はじめに

Android端末は機種数が多く、OSバージョンやハードウェアがそれぞれ異なるためにAndroidでアプリを作ることは大変だと言われています。 特にディスプレイについてはそれぞれが異なった画面サイズや解像度を持つため、Androidの画面設計は複雑だと思われがちです。

実際、OpenSignalのAndroid断片化調査の中でも以下のような画像とともに画面サイズの断片化について触れています。

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しかし、Androidにはdp(密度非依存ピクセル)という実際の画面サイズ、解像度に依存しない形で画面を扱うための仕組みが用意されており、このdpを使うことでAndroidの画面サイズ断片化への対応コストは大幅に削減することができます。 dpの概要については過去に記事を書きましたので、そちらを参照してください。

いまさら聞けないdp入門

断片化とdpについての基本的な説明は下記ブログに簡単な例と図入りでまとめられているので、ぜひ一読しておきましょう。

The Android Screen Fragmentation Myth | Rusty Rants

本題

最近のAndroid端末の画面サイズ断片化状況を把握するため、2014年に国内キャリアから発売された端末のdp解像度を調査しました。 デバイスの分類については、Android Developers上ではフォン(スマートフォン)とタブレットの2種類となっていますが、どちらにも含まれない端末があるため、 記事中ではそれらの端末を「ファブレット」として分類しました。

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この記事の調査で作成した一覧表(Googleスプレッドシート)

http://goo.gl/spJxXq

スマートフォン

Android Developersの定義では、スマートフォン端末は320-384dpの横幅を持つとされています。 一部の端末は物理ボタンを持っており、ナビゲーションバーが表示されないためアプリを描画可能な範囲が広くなりますが、Kitkat以降ではナビゲーションバーの制御も可能になっているため今回の調査では物理ボタンの有無を区別していません。

スマートフォンのdp解像度

dp解像度 量子化密度 端末数
360x640 hdpi 1
360x640 xhdpi 8
360x640 xxhdpi 22
360x640 xxxhdpi 5
320x569.3 hdpi 1

dp解像度の分類でみると、ほぼすべての端末が360x640dpとなっており、最近発売されたスマートフォンに対してはこのdp解像度を基準にデザイン設計を行えば良いことがわかります。 ただし横幅320dpの機種も1機種のみ発売されているため、320dpでも崩れないことを確認したほうが良いでしょう。

スマートフォンの一覧

スマートフォン端末の解像度とdpはそれぞれ以下のようになっています。 GALAXY Note Edgeのエッジスクリーン領域は除外しています。

機種名 対角線長 W(px) H(px) dpi 量子化密度 W(dp) H(dp) 備考
AQUOS PHONE SERIE mini SHL24 4.5 1080 1920 480 xxhdpi 360 640
URBANO L02 4.7 720 1280 320 xhdpi 360 540 物理ボタン
G Flex LGL23 6 720 1280 320 xhdpi 360 540
HTC J butterfly HTL23 5 1080 1920 480 xxhdpi 360 640
TORQUE G01 4.5 720 1280 320 xhdpi 360 640 物理ボタン
URBANO L03 5 1080 1920 480 xxhdpi 360 640 物理ボタン
AQUOS SERIE SHL25 5.2 1080 1920 480 xxhdpi 360 640
GALAXY S5 SCL23 5.1 1080 1920 480 xxhdpi 360 640 物理ボタン
Xperia ZL2 SOL25 5 1080 1920 480 xxhdpi 360 640
isai FL LGL24 5.5 1440 2560 640 xxxhdpi 360 640
isai VL LGV31 5.5 1440 2560 640 xxxhdpi 360 640
URBANO V01 5 1080 1920 480 xxhdpi 360 640 物理ボタン
Xperia Z3 SOL26 5.2 1080 1920 480 xxhdpi 360 640
GALAXY Note Edge SCL24 5.6 1440 2560 640 xxxhdpi 360 640 物理ボタン・エッジスクリーン
GALAXY S5 SC-04F 5.1 1080 1920 480 xxhdpi 360 640 物理ボタン
AQUOS ZETA SH-04F 5.4 1080 1920 480 xxhdpi 360 640
Disney Mobile on docomo SH-05F 5 1080 1920 480 xxhdpi 360 640
Xperia Z2 SO-03F 5.2 1080 1920 480 xxhdpi 360 640
Xperia A2 SO-04F 4.3 720 1280 320 xhdpi 360 640
ARROWS NX F-05F 5 1080 1920 480 xxhdpi 360 640
らくらくスマートフォン3 F-06F 4.5 720 1280 320 xhdpi 360 640
GALAXY Note Edge SC-01G 5.6 1440 2560 640 xxxhdpi 360 640 物理ボタン・エッジスクリーン
GALAXY S5 ACTIVE SC-02G 5.1 1080 1920 480 xxhdpi 360 640 物理ボタン
AQUOS ZETA SH-01G 5.5 1080 1920 480 xxhdpi 360 640
Disney Mobile on docomo SH-02G 5.5 1080 1920 480 xxhdpi 360 640
Xperia Z3 SO-01G 5.2 1080 1920 480 xxhdpi 360 640
Xperia Z3 Compact SO-02G 4.6 720 1280 320 xhdpi 360 640
ARROWS NX F-02G 5.2 1440 2560 640 xxxhdpi 360 640
AQUOS PHONE Xx mini 303SH 4.5 1080 1920 480 xxhdpi 360 640
AQUOS CRYSTAL 305SH 5 720 1280 320 xhdpi 360 640
AQUOS Xx 304SH 5.2 1080 1920 480 xxhdpi 360 640
シンプルスマホ2 401SH 4.5 720 1280 320 xhdpi 360 640
Xperia Z3 401SO 5.2 1080 1920 480 xxhdpi 360 640
CRYSTAL X 402SH 5.5 1080 1920 480 xxhdpi 360 640
AQUOS PHONE ef WX05SH 4 480 854 240 hdpi 320 569.3
DIGNO T 302KC 4.5 540 960 240 hdpi 360 640 物理ボタン
DM016SH 5.2 1080 1920 480 xxhdpi 360 640

ファブレット

ファブレットの定義はAndroid Developers上にはありません。 ただし、分類表で未分類の短辺が384dpより大きく、600dpよりも小さい端末はファブレットと呼べそうです。 この記事ではAndroid Developersに従い短辺が600dpのものはタブレット扱いとしましたが、これらの端末は7インチ前後のものが大半のようなので、今後ファブレットとして扱われるようになる可能性もあります。

ファブレットのdp解像度

今回の分類ではファブレット端末は2機種しか該当しません。

機種名 対角線長 W(px) H(px) dpi 量子化密度 W(dp) H(dp)
Xperia Z Ultra SOL24 6.4 1080 1920 320 xhdpi 540 960
Nexus 6 5.96 1440 2560 560 560dpi 410 730

Xperia Z Ultraの540x960がタブレット最小dp解像度の短辺を60dp短くしただけなのに対して、Nexus6の410x730dpはかなり特殊です。 Nexus6が他のWQHD端末と同様のxxxhdpiであれば360x640dpの標準的なスマートフォンだったはずですが、わざわざ560dpiを定義して410x730dpとすることでこの数字を中心としたファブレットという枠組みを作ろうとしているのかもしれません。 今後のガイドラインの更新に期待しましょう。

タブレット

Android Developers上の分類ではタブレットは短辺600-800dp、長辺800-1280dpの端末を指します。 スマートフォンと違い、量子化密度が高い端末はあまり多くありません。 タブレットのみ、表中のW=長辺、H=短辺としています。

タブレットのdp解像度

dp解像度 量子化密度 端末数
960x600 xhdpi 3
1024x768 xhdpi 1
1280x800 mdpi 1
1280x800 hdpi 2
1280x800 xhdpi 3

傾向としては、タブレット端末は最小の短辺600dpと最大の1280dpに集中しています。 それぞれ7インチと10インチの端末が多く、8インチでは混在しています。 この2つはアスペクト比も同じため、デザイン上それほど大きな問題にはならないでしょう。 問題はNexus9の1024x768で、アスペクト比が4:3のスクエアディスプレイ端末になります。 とはいえ、960x600dpに対応できていれば縦方向の拡大幅が大きいだけなので、縦スクロールの多いAndroidアプリでは極端な表示崩れとはならないはずです。

タブレットの一覧

機種名 対角線長 W(px) H(px) dpi 量子化密度 W(dp) H(dp) 備考
AQUOS PAD SHT22 7 1920 1200 320 xhdpi 960 600
Xperia Z2 Tablet SOT21 10.1 1920 1200 240 hdpi 1280 800
GALAXY Tab S SCT21 10.5 2560 1600 320 xhdpi 1280 800 物理ボタン
ASUS MeMO Pad 8 AST21 8 1920 1200 320 xhdpi 960 600
Xperia Z2 Tablet SO-05F 10.1 1920 1200 240 hdpi 1280 800
GALAXY Tab S 8.4 SC-03G 8.4 2560 1600 320 xhdpi 1280 800 物理ボタン
ARROWS Tab F-03G 10.5 2560 1600 320 xhdpi 1280 800
AQUOS PAD SH-06F 7 1920 1200 320 xhdpi 960 600
Nexus9 8.9 2048 1536 320 xhdpi 1024 768
MediaPad M1 8.0 403HW 8 1280 800 160 mdpi 1280 800

まとめ

スマートフォンタブレットのどちらにも分類できない端末が出てきたことで、全体としては画面サイズの断片化が進んだ形になっています。 ただしスマートフォンタブレットに該当する端末に関してはdp解像度が集中していること、サポート範囲が明確に示されていることから、カテゴリの中での断片化はほぼ免れているといっても良いでしょう。 ファブレットに関してはまだ機種が少ないこともありどのような形に落ち着くのか不明ですが、ひとまずNexus6の410dpまでサポートできるようにスマートフォン向けレイアウトを組んだほうが良いかもしれません。 横幅540dpのXperia Z Ultraの存在はAndroid Developersでタブレットの分類を「sw600dp」としているため対応が難しくなっています。タブレット判定用のsw600dpを変更することは難しいので、何かルールが決まるまでは対応端末としないか、多少使いづらくともスマートフォン向けレイアウトで対応するしかなさそうです。